ヴァージナル通信

ヴァージナル通信 2016 11 29

Portable Virginal II がとりあえず弾ける状態にはなりました。 試奏を受け付けています。 ご都合の良い時間をお知らせください。 専用キーボードケースにより持ち運ぶことができます。 ただ、安定性を重視したために、重量は従来のPortable Virginalよりやや増加する予定です。 

ァージナル通信 2016  8 31

clavichord2016(ひねり底板クラヴィコード)のno.2が完成しました。

clavichord2016で変更した点をまとめます。

1 響板材を煮る

  響板材にヒノキを用い、長時間煮てから使用している。

2 ひねり底板

  底板を2枚の板をひねった状態で貼り付け構成した。

  (その2枚は木目の方向が少し異なる)

  弦を張るとよじれて来るので、それと反対方向へあらかじめよじってある。

3 響板の木目を斜めにとった。

4 響板のクラウン

  響板のクラウン(ブリッジあたりを高くする事)を最大5mmと、大きくとった。

5 タンジェントを厚手のものから成形し、断面をレンズ状にした後、天ぷら油で煮てゆっくりさました。

6 すべてのピン穴、キーのバランスピン穴を、半田ごてやドリルを用いて焦がした。

7 バランスピン穴を熱による新方式で成型

 

1 響板材を煮る

clavichord2016 no.2 (ひねり底板クラヴィコードno.2)

ストーブの上で響板材を煮ているところ。

10時間X5日

ヒノキ材は優れた木だが、樹脂分が大変多い。 

煮ると、この樹脂分が大量に出てくる。

スプルースはそもそもこの樹脂分が少ないため、楽器に適していると言われている。

2 ひねり底板

底板を2枚に板を張り合わせて構成する。

この2枚は木目の向きが少し異なる。 また、写真の様に二枚を張り合わせるときに真ん中を高く、また将来弦の張力でよじれるであろう方向と反対にひねった状態で接着した。

大きな面を接着するので慎重に準備する。 接着剤を着けないで、クランプする予行演習(dry run)が欠かせない。

3 響板の木目を斜めにとった。

これはCarlo Grimaldiの大型チェンバロの響板がスパインに対して21度程斜めとなっている事を参考にしたものである。 このためブリッジと響板の木目がやや直角に近くなり、ブリッジの下を通る木目の数は大変多くなる。 なお、北欧の18世紀後半の大型クラヴィコードでもかなり斜めにとり、木目とブリッジが直角に近いところが多くなっている。

今回は試みとして5度傾けたが、ひねり底板クラヴィコードno.3では13度とする予定である。

4 響板のクラウン

クラウンを最大5mmと大きくとった。  写真はリブやカットオフバーの接着が終わったところであり、リブは未整形である。 接着前にリブとカットオフバーを成形しておくことによりクラウンが作り出される。 現代のピアノでもクラウンがつけられている。 ブリッジのあたりを持ち上げておくと、音が大きくなるが、振動がより広い範囲に広がるか、あるいはコーン型スピーカーと同様、位相がそろいやすいためと考えられる。

5 タンジェントの成形

タンジェントは厚手のものを用い、全体を先に行くに従って薄くなる様に削り、さらに、断面がレンズ状になるように削っている。 これにより、タンジェントが音に与える影響を少なくすることができる。 また、下穴を開けずに打ち込める。

<工程>

機械による荒削り⇒金属やすり(荒)⇒金属やすり(細)⇒研磨剤で研磨

最後の研磨によりピカピカにすることが音に影響するか、今のところ不明である。

 また、上記成形後は天ぷら油で煮て、ゆっくりさます。

天ぷら油では熱処理において「焼きなまし」と呼ばれる温度まで上げられないので、「焼きならし」normalizingと呼ばれる処理となる。 それでも音に大きく影響する。

6 すべてのピン穴、キーのバランスピン穴を、半田ごてやドリルを用いて焦がした。

すべての穴は次の3通りの方法で内面を焦がしている。

a 切れなくしたドリルビットを使用

ドリルの刃を砥石で落とし、切れにくくすると共に、コンクリートに挟んで先がやや細くなるようテーパーを付けたものを用いて、焦がしながらチューニングピン穴を開けた。 なお、チューニングピンを入れるときはチューニングピンに8Bの鉛筆を塗ると、さらに滑らかに回るようになる。

b ピン打ち込んだ後、加熱する。

ヒッチピンやブリッジピンのように細いピンはビットを加工し、高速回転しても、なかなか焦げない。 そこで、真鍮ピン(熱電動率が良い)をもちい、打ち込んだ後からはんだごてで加熱し、穴を焦がす。

写真はヒッチピンを加熱しているところ。

写真はブリッジピンをヒッチピンと同様の方法で加熱しているところ。

c した穴と同じ太さの銅線で加熱

バランスピンはある程度強度があった方が良いので、鉄ピンとなる。 この場合ははんだごての先にした穴と同じ太さの銅線を取り付け、事前に穴の中を焦がしておく。

7 バランスピン穴の熱による新方式で成型

 下穴をあけておき、半田ごて(60w)の先を加工し、熱によりピンよりかなりせまいモーティスを作る。

今まで、アルダー、ホウノキ等の広葉樹で試したが、木がすぐに溶けて、うまくいくようである。

次に、下図のようにドリルにバランスピンを取り付けて、このモーティスの中を摩擦熱を用いて適度にならす。

キーが必要とするストロークよりも大きめ上下に動かす。

本当はバランスピンより0.1mm大きいピンがあると良いかもしれない。

楽器に使うものと同じバランスピンを用いているので、キーを動かす時に少しモーディスの幅を広げるように、この写真の奥や手前に力をかけながら、上下する。  この様に、熱でモーティスの中を成型すると、後からキーのスティック等のトラブルが起きにくいように思う。 また、がたつきを極めて小さくすることができる。