21st century

Meantone clavichord

Educational model

概要

教育目的に設計された軽量フレッテッドクラヴィコードです。

4オクターブの音域を有してますので、イベリア半島、フランス、イタリア等の17世紀以前のほとんどを弾くことができます。 未来のクラヴィコード委員会による15以下の方への貸し出しを目的としています。 なお、新しい構造を多用したので、ヒストリカルなものと区別するために21st century meantone clavichord と名付けました。

参考音源、クラヴィコードの部屋 https://www.youtube.com/@clavichord_room_2023

 

スタンド無し

ミーントーンにのみ調律可能です。 a=415Hz

C,D - c3   53キー(C#なし) 27コース(54弦)

フレッティングシステム;主としてダブルフレッテッド

スプリットシャープを用いて、右の図の様に一部異名異音としています。 17世紀までの音楽でよく使われる方を手前としています。

 

全長;141cm(下部モールディングを除く)

GATOR ゲーター キーボードケース ナイロン製ギグバッグ  GKB-88 SLXL付属

 

 

重量;10.5Kg (上記ケースを含まず)

スタンドはありません。 テーブルの上等に置いてお使いください。

 

ペダルプルダウンを設けたものもあります。

専用スタンド付

宅配便にて輸送できませんので、車で取に来られる方のみとなります。

ペダル;C D E F G A B-flat B

ベンチは付属しませんが、ピアノイスと高くしてお使いいただけます。

 

構造

主な使用木材、素材

 

ケース材;

ケースの4枚は10㎜厚のヒノキ材を用いています。 スパインのみ少し幅の広い板より中央部が高くなる様に切り出しています。(右図)

ふた;

8mm厚ヒノキ(柾目に近い板の2枚はぎ)

底板;

18mm厚ヒノキ材(板目)

響板;

3mm厚 木曽ヒノキ材 10時間x4日 煮てから使用しています。

ブジッリ/ヒッチピンレール/バランスレール/レストプランク;

北米の柾目のハードメイプル

キーボードブランク;

北米の板目のハードメイプル

インシュレーター/インシュレータープレート等;

ジリコテ(メキシコ)

 

 

リスティングクロス;鹿のなめし皮

バランスワッシャー;牛のなめし皮

キーエンドフェルト;牛のなめし皮+鹿野なめし皮

(フェルトは一切使用していません。)

 

 

 

 

1 インシュレーション(振動の絶縁)

次の3か所に絶縁する工夫がなされています。

 

バランスレール ー 底板 (右写真)

ヒッチピンレール ー ベリーレール

レストプランク ー スパイン(no.30より)

 

これらにより振動のループが大幅に少なくなっていると思われます。 バランスレールのインシュレーションについて下図をご参照ください。 

2 響板のクラウン

 ブリッジ制作時、厚手の板より中央部が高くなる様に削り出し、響板に膨らみ(クラウン)を持たせています。

クラウンに合わせてライナーの上部も傾斜を持たせています。

 

no.25以降、響板下面のリブなしとなっています。 

 

響板材を煮たこと、裏面のリブが無い事により軽量になっています。 162.3g(no.30)

3 ヒッチピンレール

この写真にある様に、スパインと左の側板にほぞ穴を設け、ヒッチピンレールの一部が入り込み固定されるようになっています。 このため、ヒッチピンとタンジェントの距離を大幅に小さくできます。 タンジェントとの距離を短くするために、ヒッチピンが直線上ではなく、いくつかの直線によって構成されています。 

 また、ヒッチピンレールのスパインと接する面は直線でなく、中央部で奥へ1.5mm押し出すようにカーブしています。

4 キーボード

 キートップを設けず、全体をハードメープルで作っています。 以前、アルダー等で作ったキーにキートップを張り付けると急に響きが損なわれることに悩まされていました。 写真の手前、手で触れる部分はニスを塗ります。

 また、この構造のために、下の写真の様にキーの裏面を大きく削ることができます。 剛性が適度に低いとはっきりした音になります。

 バランスピンほぞ穴は半田ごてのこて先を成形したものを用い、まず熱で広げます。 キーを切り分けてからドリルビットを逆回転させて広げています。

2.0mmのバランスピンに対し、2.1mmのドリルビットを使用しています。

 

5 レストプランク

 レストプランクの両端は厚さ5mmとし、フロントパネル、スパイン上の5mm幅のほぞ穴に入る様になっています。

 スパインとの接触部分を小さくし、レストプランクがスパインの5mmの溝にはまっている幅を36mmとしています。(no.30~)  

 レストプランクの下にホーン状の空間を設けています。 手前から、小部屋、かすかに広くなっていくスロート部分、急に広くなるホーンの本体部分を設けています。

6 インナーウォール

 サウンドボードを載せるライナーはケースに固定されているのではなく、ケース内側に設けられたインナーウォールに着けられています。 なお、ライナーは写真では見にくいほど小さなものです。 このインナーウォール方式は私の案ではなく最初のピアノを作ったクリストフォリのインナーベントサイドの案に従ったものです。

 

7 ベリーレール

 ベリーレールの両端が入るほぞ穴を傾け、ケースを逆よじりしています。 弦を張った状態でほぼ水平になるよう、調整しています。 このよじりのためにベリーレールをさくら材からより硬いカバ材へ変更しています。

右図のわずかによじれた状態はベリーレールによって保たれています。

8 低音部のフレッティング

 低音部もダブルフレットとするために、キーの配列を工夫し、共有するタンジェント間の距離を確保しています。 AのタンジェントよりBフラットのタンジェントの方が左にあります。 この場合Bフラットのキートップの接触面が不足しますのでバランスピン方向に延長部分を設けています。

9 実験的構造

9.1 バランスレール

 バランスレールを単にインシュレーターの上に置くのではなく、右端からはアームの右へ伸び、インシュレーターを超えて木ねじにより下へ押さえつけられています。 これにより、バランスレール中央部が持ち上がる方向に力がかかっています。

これにより、バランスレールが自由振動するのを防いでいると思われます。

 

9.2 バランスレールとヒッチピンレールの切り込み

 バランスレールとヒッチピンレールはほぼ中央部に切り込みを入れています。 おそらくこれにより高音と低音の相互干渉が小さくなっていると思われます。

ヒッチピンを打つ辺りに傾斜を設けています。 ヒッチピンレールの前面部分も写真の様にわずかに傾斜がついています。

9.3 インナーウォール

 フロント側、スパイン側の両インナーウォール及びライナーは中央部が高く、右端のレストプランクに向けてわずかに低くなっています。 これは16世紀のイタリアのクラヴィコードを参考にしたものです。 現在、高低差を4㎜としていますが、今年右端で10㎜程低くする実験をするかもしれません。

フォトギャラリー

   After I have made several double fretted clavichords after Hubert, I was eager to make a clavichord with fewer strings, and I wanted to know if it would sound like a vihuela or a renaissance guitar.  

   First, I thought of making a 16th century multiple-fretted Italian clavichord. The construction is excellent and reminds us that is a kind of string instruments. But I decided to make a 4 octave meantone clavichord with 54 strings largely modifying the 18th century German clavichord. In addition, I chose a chromatic keyboard in the bass for the use of modern music or composing. 

   Meantone in temperament is chosen because it permits us to apply double fretted area wider to the bass notes.  Another reason is because most of the piano students in Japan study only on the equal-tempered piano.  And they may not have a chance to know the pure major third unless they sing in a choir.  The meantone temperament may cause some difficulties in playing music in several keys yet it will help us to understand the harmonies.

 

 

Contents

I    General

II   Insulating

III  Keys 

IV  Tangents

V   Soundboard

VI  Case twisting

 

Appendix I    String length ration in meantone

Appendix II   Speaking-length calculations

Appendix III  Speaking length table in Equal and Meantone temperament

Appendix IV  Speaking length table with separating d-sharp/ e-flat and g-sharp/ a-flat

Appendix V   Gallery  

 

IV  Tangents

Tangents are made from thick plates of brass. They are trimmed thinner and round toward the tip.  Note that this is not my idea.  I have ever seen "thinner to the tip" or something like that on a drawing.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Appendix I  String length ration in meantone

This is the only important table to design a meantone clavichord.  If you are going to design a equal-temperament clavichord, go to Appendix III.

The reciprocals of frequency give us the ratio of string lengths in an octave.

I get each length of string from this table.

The appendix II shows how these figures are calculated.

 

 

Appendix  I I Speaking-length calculations

Here are the calculations for speaking-lengths in equal and meantone temperament.

Let's begin calculating the frequency and the speaking lengths of strings.

IMPORTANT:  The frequency and the speaking length of string are inversely proportional in the same tension. So, you can proceed in both ways. 

The first is the equal temperament.

Appendix III  Speaking length table in Equal and Meantone temperament

Here the speaking lengths are calculated between c2= 230mm and 255mm.

The blued parts show the lengths I chose.

Note also that the length of the lowest octave come from the drawing not from calculation. 

They are far shorter than the lengths at c2=230mm which you can see on this table.

 

 

 

Appendix IV  Speaking length table with separating d-sharp/ e-flat and g-sharp/ a-flat

You will know how different are the lengths of d-sharp and e-flat in meantone.